「逆転裁判 蘇る逆転」レビュー

さて、そんなわけでプラットフォームをNintendoDSに移してから初の「逆転裁判」、「蘇る逆転」をクリアしたので、レビューを書いてみようと思います。


逆転裁判 蘇る逆転

逆転裁判 蘇る逆転


勿論、このレビューではストーリーの根幹部分のネタをバラしたりするつもりは無いのですが、新要素等をレビューしようと思うと、どうしても少々のネタばれはしてしまうので、気になる方はゲームをクリアしてから読んで下さいね。



◆ 価格 …… ( ´∀`)

さて、この逆転裁判なのですが定価が5,040円なのです。実売では4,300円前後なわけですが、この値段は非常に微妙な設定です。というのも、ゲームボーイ版を遊んでいるかそうで無いかで価値が大きく変わるからです。

ゲームボーイ版を遊んでいない方には文句なしにお勧め出来ます。シナリオ5編、プレイ時間にして20時間以上のボリュームで実売4,300円は安いです。しかも、そのシナリオがかなりの傑作である事は、ちまたに溢れているゲームボーイ逆転裁判のレビューを見ても明らかでしょう。私自身も、今回最初からやり直しましたが、凄く面白かったです。

しかし、ゲームボーイ版を遊んでいる人には少々辛い値段かもしれません。追加シナリオ一本分のシナリオに4,300円出せるかどうか……。ちなみに、追加シナリオは私の場合、実プレイ時間、約7時間でクリアしました。

私の場合、ゲームボーイ版をプレイしたのが大分前という事もあって、以前のシナリオも再び楽しめたので満足度は高かったのですが、つい最近プレイした人にはつらいかもしれませんね。

◆ シナリオ …… ( ´∀`)

さて、このへんからネタばれ無しで説明するのが難しいわけですが……(笑)なるべく、ネタばれしないように書いていこうと思います。

追加されたシナリオの概要はこんな感じです。

豪雨が降り稲妻が轟く2月21日午後5時15分、その殺人事件は起こった。


地方検事局主席検事であり、綾里千尋の先輩でもある「宝月 巴」が捜査第1課の刑事、「多田敷 道夫」を検事局地下駐車場で殺害。ナイフで被害者を殺害する所を証人に見られ、その場で取り押さえられる。宝月巴自身も殺害の罪を認める。


ところが、2月21日午後5時15分に「多田敷 道夫」を警察局証拠保管庫の中で殺害したという別の容疑者が浮上。防犯カメラの映像、特殊なIDカードでしか開かない扉、「多田敷 道夫」がここで殺されたという動かぬ証拠が……。


検事局と警察局は30分以上離れた距離。同月同日同時刻に同じ被害者が全く別の場所で殺害されるという奇妙な事件。しかし、この奇妙な出来事も事件のプロローグにしか過ぎなかった。


容疑者の妹である「宝月 茜」は、主人公であり弁護士でもある「成歩堂 龍一」の元へ「姉は殺人なんかしません!どうか姉を弁護して下さい!」……と、弁護の依頼にくるのだが……。


事件は、二転三転して、物語の裏に潜む「恐るべき真実」へと進んでいく事になる……


ええ〜と、大体こんな感じでしょうか(^^;)公式サイトに、ストーリーの概要が無いゲームは自分で話を纏めないといけないから大変です。上手く説明出来たかどうか……。



逆転裁判のシナリオは、毎回「掴み」の部分が非常に上手いなぁと思うのですが、今回の話も例にもれず「掴み」が上手い。最初に大きな謎を提示して、遊んでいる側の興味を一気に引き寄せる。そして、そのパワーが衰えないウチに新しい事件・謎が次々押し寄せてくる。タイトルの「逆転裁判」の名が示す通り、物語は2転3転と逆転を繰り返していきます。

そして、今回のシナリオはボリュームも凄い。過去のシナリオの中でも最長でしょう。というかちょっと長すぎます(^^;)。こっちが決定的証拠をつきつけ、「どうだっ!もう観念しただろう!」……と思った所で、その事実を覆す証拠を突きつけられる。何度、「まだ、続くのかよっ!」と突っ込んだ事か(笑)前述の通り、私は約7時間でクリアしたわけですが、人によってはもう少し時間がかかるかもしれません。

◆ ゲームシステム …… ( ´∀`)

今作で追加された要素は

  1. 証拠品を詳しく調べるモード
  2. ルミノール試薬による、血液検出
  3. 指紋検出
  4. 動画による証拠指摘
  5. 英語モード

……等。


まず、1について。追加シナリオでは証拠品を詳細モードで見ることにより、ポリゴンの証拠品を360度回転させて、色々な角度から見ることが出来ます。例えば、一見すると普通の靴でも、回転させて底を見ると血糊がべったり付いていたりとか。

この追加要素は非常に危ういバランスで実装されていました。というのも、すべての証拠品がこの方法で調べられるのですが、逆に言えばすべての証拠品を調べる手間が増えたわけで、シナリオのテンポを遅らせる可能性も多分に秘めていたからです。

幸い、今作では証拠品取得のタイミングやシナリオの妙でなんとかバランスを保っていましたが、それでも少々面倒くさく感じたのも事実です。すべての証拠品を調べられるのでは無く、特定の証拠品に限って詳細モードが発動する……という仕様にしてくれた方が嬉しかったかなぁ。

2、3については面白かったです。これは、先程の文章に被りますが、使う事はいつでも出来るのですが、使う場所というのが大体わかるので、ダレずに済みますし、いかにも自分が証拠を見つけているという感触が楽しさをアップしてくれています。

4は驚きました。まさか動画を使ってくるとは……。シナリオ中、防犯カメラに録画された映像を検証するシーンがあるのですが、ここでは画面に表示される動画から不審な点を指摘するのです。動画の早送り、巻き戻し、一時停止も可。これは次の逆転裁判があれば、是非次回作でも採用して欲しいです。

5は、そのまんまの意味で、英語バージョンが楽しめます。「異議ありっ!」の掛け声も当然英語に変わります(笑)これ、日本語バージョンを遊び終わった後にプレイすると、英語が苦手でも意外と読み進めて行く事が出来ます。物語の概要が分かっているので、知らない単語を推測したり、複雑な文法もどう理解すればいいのかがすんなりわかったりするのです。英語の勉強に役立つ………………かも?



DSのゲームという事で、ボタン操作の他にタッチペンによる操作も出来るわけですが、この操作感は上々。私は結局ボタン操作メインでゲームを進めましたが、タッチペンメインで操作しても違和感無く操作出来ると思います。

逆転裁判」で毎回納得の行かないセーブは、今回もセーブをするとタイトルに戻ってしまう仕様……う〜ん。あまりセーブ&ロードを使って欲しく無いという製作者側の狙いかもしれませんが、正直、あんまり意味が無いと思うので、素直に普通のセーブ&ロード機能を付けて欲しいです。あと、複数セーブファイルも実装して欲しい。

◆ グラフィック …… 。・゜・ヽ( ´◇`)ノ・゜・。

キャラデザの人が今作ではスエカネクミコさんから塗和也さんに変わったわけですが、ほとんど違和感を感じません。これだけ絵柄を似せるのは大変だったろうなぁ……と思います。新キャラは美形キャラが多いです。そんな中、一際ギャグ路線が目立つ「腹灰ススム」巡査はいい味を出しています(笑)

ハードがDSに変わった事で画面も広くなりました。ゲームボーイ版に比べてかなり広がりを感じます。

動画も、上手く絡ませたなぁ……と思います。というのも、逆転裁判シリーズは良い意味で「チープさ」が感じられるゲームなのですが、そこに動画だけ派手なものを入れても違和感が出てしまうように感じます。しかし、今作では動画のトーンをなるべく通常ゲーム画面と差がないものにする事で、違和感を無くす事に成功しています。

◆ 音楽 …… ( ´∀`)

音楽は一つ一つの音は綺麗に聞こえるようになったものの、ゲームボーイ版と大差ありません。このへん、どうやら製作者サイドが「狙って」やったようなのですが……。

おかげで、今までの逆転裁判シリーズを遊んできた私には違和感なく感じる事が出来たわけですが、逆に今作から初めてプレイする人には、ややチープに感じるかもしれませんね。「バンブラ」や「エレクトロプランクトン」をプレイすれば分かるように、DSは音源が中々優秀なハードですので……。

なお、今作で新たに追加された「タイホくん」のテーマは名曲ですよ(笑)

◆ 総評 …… ( ´∀`)

取り合えず、今まで「逆転裁判」シリーズをプレイした事が無い人に言う言葉は一言だけです。「買えっ!」。アドベンチャーゲームが嫌いでなければ満足出来るはずです。

問題はゲームボーイ版をプレイ済みの人ですね(^^;)追加シナリオはかなりのボリュームがあります。が、やはりシナリオ1本で4,300円は高いかもしれません。特に急いでプレイする必要性を感じなければ、値段が下がるのを待つのも手だと思います。

ただ、私もそうだったのですが、人の記憶というのは意外とあやふやなので、過去にプレイした作品でも時間が空くと、結構新鮮な気持ちでゲームを遊ぶ事が出来ます。「1」はプレイしたけれど、遊んだのは大分前だなぁ……という人は、もう一度DS版逆転裁判で「1」の話を最初からやり直すのも有りだと思います。

あっ!それと書き忘れていましたが、ゲームボーイ版「逆転裁判1」を既にクリアしている人は、連動で追加シナリオからプレイ出来ますよ〜。