「シンフォニック=レイン」レビュー

素晴らしい作品でした。



……という事で、今回は工画堂スタジオのミュージックアドベンチャーゲームシンフォニック=レイン」の感想を書きます。


シンフォニック=レイン DVD通常版

シンフォニック=レイン DVD通常版


このゲームをやろうとした切っ掛けは、4月3日の日記に書いた通り、げっちゅ屋ランキングストーリー部門の4位に入っていたからです(ベスト3は既にプレイ済み)。これが大当たり。切なくて胸が締め付けられるような話が好きなら、迷わずGoであります。


そんなわけで、例によって項目別に見ていきましょうか。

◆ストーリー …… ヾ(〃^∇^)ノ

先ずは概要から。

雨が止むことなく降り続ける街ピオーヴァは、音楽家を夢見る若者達が集う、音楽の街でもありました。

クリス=ヴェルティンは、恋人のアリエッタが暮らす生まれ故郷の田舎街から遠く離れ、彼女の双子の妹トルティニタと共に、街のシンボルであるピオーヴァ音楽学院に通っていました。

魔導奏器フォルテールの奏者、フォルテニストになることを目指し、クリスがこの街に来てから2年以上の月日が流れ、季節は冬……。

あと数ヶ月で卒業を迎えるクリスは、フォルテール科の卒業課題として、 一月半ばの発表会で、歌唱担当のパートナーと共に、 オリジナル曲を合奏しなければなりませんでした。

しかしクリスは、未だにそのパートナーさえ決めようともせず、ただやる気のない毎日を送り続けていました。

週に一度届く恋人からの手紙と、この街に引っ越して来たときに出会った部屋の居候、身の丈10センチほどの小さな音の妖精フォーニが、彼の世界のすべてでした。



雨――いつまでも、止むことなく降り続ける雨。



雨音が奏でるメトロノームにのせて、魔導奏器フォルテールの音色を響かせましょう。

クリスの奏でる音色と、音の妖精フォーニの歌声が重なり、響き渡る時、何かが起こるのでしょうか?


……さぁ、妖精の歌を奏でましょう。


……以上、公式ページより。


そんなわけで、プレイヤーはクリスとなり卒業課題の発表会を成功させるべく、頑張る事になります。

主人公のパートナー候補は3人。

幼馴染で主人公の恋人の双子の妹「トルティニタ・フィーネ」。音楽学院の声楽科3年生で、元生徒会長。だけど、時間が空いていればアルバイトをしている「ファルシータ・フォーセット」。普段は殆んど喋ることもなく、とても大人しい女の子。何故か、心を閉ざした感がある「リセルシア・チェザリーニ」……この3人の中からパートナーを見つけて行く事になります。

さて……このゲームは俗に言う「鬱ゲー」に類するゲームです。どの女の子も抱えているものが大きく、仲が良くなるにつれてその抱えているものを主人公も知っていく事になります。

そして……どの相手を選ぶにせよ、およそ、ハッピーエンドとは思えないハッピーエンドでお話は終わってしまいます。あうぅ……これはハッピーというよりSadEndだ……(しくしく)

……しかし、その悲しみに耐え、全てのシナリオをクリアすると、物語のループを終わらすかのように新シナリオが。

……ところが、ところがですよっ!この新シナリオも物語の謎を明かしつつも、やっぱりちょっと悲しいエンドなのですよ(涙)ちなみに、このシナリオで明かされる真相には少なからずプレイヤーは驚くことになると思います。このシナリオのタイトルにも関わる話の真相です。

で、ここで諦めてはいけません(笑)この新シナリオをクリアして、再び元のループシナリオをプレイすると……そうっ!最後の最後で今までの努力が報われる?シナリオが登場するのです。長かったっ!

でも、この最終シナリオをプレイしても、今までのシナリオの衝撃が大きく、引きずるものがあるので、やっぱりちょっと悲しい想いをしたりもするのですが(^^;)

とにかく、伏線や舞台設定、そして人物の感情描写が見事な作品です。切ない話なのですが、そういうのが好きな人は是非プレイして欲しいです。

◆システム …… ( ´∀`)

アドベンチャーゲームとして必要な機能はすべて揃っていますね……メッセージスキップは既読のみです。あっ!今からプレイする人は、必ず公式ページの修正パッチを当ててからプレイして下さい。日付が変わるとき、その日付が表示されるようになるので分かりやすいです。背景の雨が降る描写が雰囲気を盛り上げてくれます。

◆ゲーム性 …… ( ´∀`)

アドベンチャーゲームなのにゲーム性について語らなければいけないのがこのゲームの特徴(笑)

前述の通り、主人公は発表会に向けて演奏の練習をするわけですが、これ実際にプレイヤーが演奏します。というのは、演奏する時になると、演奏の為のミニゲームが入り、そのゲームの出来によってシナリオが分岐するからです

ミニゲームの内容は、要するに「ビート・マニア」の亜流です。右から左に音符が流れてくるので、枠に重なった時にその音符に対応するキーを押すというものです。

リズムゲームが苦手な人の為に、オプションで難易度設定が出来るのですが、これがなんと自動演奏に設定する事も出来ます。自動演奏にすると、プレイヤーが何もしなくても最高の演奏をした事になります(笑)

でも、このゲームはこのパートがある事で、自分が実際に発表会に向けて練習している気分になるので(卒業式に向けて上達していくのが実感出来る!)出来たら難易度Easyでもいいので実際にプレイする事をお勧めします。単純ですが、結構楽しいですよ。

ちなみに、全てのキーを使う難易度Hardは鬼のような難しさです。

◆グラフィック …… ( ´_ゝ`)

う〜ん……ちょっとレベルが低い

ゲームに慣れると気にならなくなったのですが、最初はどのキャラも同じ顔に見えるし、微妙なデッサンの狂いが気になるしで結構マイナス評価でした(^^;)没個性的ですね……。せめて、目をキャラによって変えるだけでももう少し個性が出ると思うのですが。

枚数的にもアドベンチャーゲームとしては少なめかな……。

最も、プレイしているうちに気にならなくなったので、そんなに酷いというわけでも無いと思いますが。

◆音楽 …… 。・゜・ヽ( ´◇`)ノ・゜・。

音楽担当は、あの岡崎律子さんです。去年の5月に敗血症性ショックにて若くしてお亡くなりなったため、奇しくもこの作品が岡崎さんが関与した最後の作品となってしまいました。

その音楽なのですが、作品の雰囲気にマッチした素敵な曲が多いです。派手さは無いのですが、心に優しく残りますね……。

作品の性質上、ヴォーカル曲が非常に多い!(何せ、主人公は発表会でヒロイン達とデュエットする事になるので)何と11曲がヴォーカル曲!

そのヴォーカル曲も各キャラクターが作ったという設定なので、シナリオにリンクしていて、キャラクターの想いを書き綴った歌詞になっています。物語の盛り上がりに一役……どころか、二役、三役、四役……と役立っています。

個人的に好きな曲は「空の向こうに」「リセエンヌ」「秘密」「fay」……そして「I'm always close to you」です。

◆総評 …… ヾ(〃^∇^)ノ

……ありがとう、げっちゅ屋……。君の所のランキングのお陰で、去年は「cross†channel」、今年は「シンフォニック=レイン」という素晴らしい作品に出会えたよ……。

兎に角、シナリオが素晴らしい作品です。切なく、美しい心の調べを奏でてくれます。胸を締め付けられるようなシナリオをプレイしたい人は是非プレイして下さい。確かにシナリオの出来から言えば「Fate」や「クラナド」よりランキングが下なのは仕方が無いかもしれませんが*1fate」や「クラナド」では弱かった「切なさ」がこの作品には溢れています。

とても「悲しい」、そして「優しい」ゲームです。マイナーなのが惜しいなぁ……。

*1:ただし、「そらうた」よりも下なのは納得がいかない。売れた個数の差か?「シンフォニック=レイン」は一般ゲームだというのもあるしなぁ。