「車輪の国、向日葵の少女」レビュー

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車輪の国、向日葵の少女  初回版

車輪の国、向日葵の少女 初回版



ストーリー …… 。・゜・ヽ( ´◇`)ノ・゜・。

まずは、公式ページのストーリーより概要を紹介。

初夏。

罪を犯すと『特別な義務』を負わされる社会。

罪人を更正指導する『特別高等人』という職業を目指す主人公・森田賢一は、

その最終試験のため、とある田舎町を訪れる。

『1日が12時間しかない』『大人になれない』などといった義務を負う少女たちと学園生活を送るが、

『恋愛できない』少女・夏咲と出会ってから、賢一の歯車が狂いだす。

崖にひっそりと建てられた自分の墓、山間洞窟に隠された父親の遺産が次々と賢一を追い詰めた。

贖罪を問われた男が見た、車輪の国の真実とは……。

重厚な世界観を軽妙なタッチで描いた、感動のヒューマンドラマ

このゲームは、この世界観を作った事で既に「勝ち」組に入ったと思います。罪を犯すと、その罪に相応しい刑罰が与えられる国。有りそうで無かった非常に独創的で魅力を持った世界観。そんな中で主人公はその「罰」を施行している少女達と触れ合っていくことになります。

そして、主人公はその少女達を罰から解放させるべく行動するわけですが……そこで、少女達、あるいはその周りの人間は大切な事に気付き始めます。その過程が凄いですよ……泣ける。ドラマティックな演出、巧妙な伏線。それが、車輪の歯車のように最後に組み合わさる。特に第二章はやられたという感じです。こういう系統の話、大好き(笑)

ただ、荒削りな部分もあり、特に前半の盛り上がりに反して最後が尻すぼみになってしまった印象を受けるのが辛い。これは、変にマルチエンディングにしてしまった事が悪い影響を与えていると思いました。基本的な話は一本なのに、結末を複数用意しなければいけないばっかりに、最後の最後で伝えたいメッセージが何なのかというのがボケてしまったように感じました。勿体無い。このゲームでは、エンディングを一本に絞って、最後はそこに向かって一直線に進んで欲しかったです。

最終章の盛り上がりが弱いものの、そこに辿り着くまでの過程は非常に良く出来ています。今年のストーリー部門のトップはこの作品にあげたいと思います。

グラフィック …… ( ´∀`)

塗りは完全なアニメ塗り。いわゆる、色の境目をぼかさず境界がくっきりとわかるタイプです。

立ち絵で若干変かなぁ……と思う部分はあるものの、イベント絵では魅力的な構図もあり、絵柄も癖のあまり無い萌え絵系統の方なので多くの方に受け入れられる絵だと思います。

グラフィック枚数はそんなに多くないです(^^;)

音楽 …… ( ´∀`)

良いです。良いんだけど……勿体無いと思いました。

というのもこのゲーム、音楽が全部で62曲もあるんです。これ、ゲーム規模から考えると少々多すぎです。シーン毎に色々な音楽が流れるのはいいのですが、多すぎて使い捨てにされている曲も多く、その為逆に曲が印象に残りにくいです。

クリア後に入れる音楽モードで聞いて、「あ、そういえばこんな曲もあったなぁ……」と感じている状態。過ぎたるは尚及ばざるが如しではないですが、あまりに曲数が多いのも考え物かと……。

そんな中で「光の先に」はやはり印象深い曲ですね。使われているシーンが良いのもあるのですが、メロディーラインが美しい。欲を言えば、ピアノソロの部分で転調して欲しく無かったですが(^^;)

えちぃ …… ( ´_ゝ`)

期待したら駄目です。っていうか、このゲームの場合、えちシーンはあんまり要りません(^^;)寧ろ、無かった方がシングルエンディングにし易かった様に思います。おまけ程度のつもりで……。

推奨属性:「純愛」「処女」「いたいけな少年を苛める姉」

総評 …… 。・゜・ヽ( ´◇`)ノ・゜・。

荒削りながら、キラリと光るものを持つ一品です

兎に角、ストーリーが素晴らしい作品でした。本文中では語っていないのですが、この作品は伏線という面においても非常に綿密に組み上げられています。この裏にはこういう事情があったのか!という点で驚くことしきりです。

各章の終わりは、決して完全にハッピーエンドとは言えない終わり方なのですが、それでもハッピーエンドに感じるのはこの話の終わりには希望があるから。今は失敗しているかもしれない。けれど、未来には成功する結末が可能性としてある。いや寧ろ成功する未来があると確信出来る。そういう終わり方なので、ハッピーエンドでなくても後味が良いのです。この辺は、アンハッピーエンド派のシナリオライターに見習って欲しい所でもあります。

今年ももう終わりが見えて来ましたが、最後の最後でこのような作品に出会えたのは嬉しいですね。次回作も期待しています。