イラストに関する徒然

メルフォ投稿より。

(前略)



どうやったら絵が上手になるのでしょうか。やはり兎に角描くことが大切なのでしょうか。



(中略)



絵を描くとき一番重視している事って何でしょうか。



(後略)

かなりの長文でしたので、肝心なところだけ抜粋させてもらいました。う〜ん……っていうか、その質問は私みたいなヘタレが答えていいものなのでしょうか(^^;)まあ、折角なので私なりの意見を書いてみます。

まず、一つ目、「どうすれば絵が上手になるか」……まあ、これは絵を描く人間にとっては永遠のテーマですよね(^^;

投稿メールにも描いてありますが、「兎に角描く事」っていうのは間違ってはいないけれど、個人的には当たってもいないと思います。

これは、某掲示板で似たような質問のやり取りがあった時も、多くの人が「悩む前に描く事だと思います」だとか「まず、描く。兎に角、描く。そして描く」だとか、描けば上手くなるかの様な回答をしているのが、どうにも腑に落ちないものがありました。初心者相手の回答ならば、尚更です。

確かに、描けば描くほど描くスピードは上昇すると思うし、ある程度の実力があれば個性を伸ばしたり、自己修正も出来ると思う。でも、初心者がはたしてその方法で上手くなるのか……?

例えば、野球やテニスで考えてみます。基礎が分かっていないのに闇雲に素振りを繰り返していても、体は変な癖を覚えてしまい、それを修正するのに余計に時間がかかってしまいます。確かにバットを毎日振り回していたら、体力がついてバットのスイングは早くなるでしょう。しかし、自己流の癖がついたスイングは体重移動やミーティングの位置が無茶苦茶で実戦で役に立ちません。

同じことは絵でも言えると思うのですよ。ただ、闇雲に絵を描くことを繰り返していても変な癖がついてしまい、その癖を直すのに余計に手間がかかる。描けば描くだけ下手になってしまう場合もあるという事です。特に、初心者の場合ですと……。

で、私が上手くなるために必要だと思うのは絵を描き捨てにせずに、欠点を探す事だと思うのですよ。つまり、ただ闇雲に描くよりかは、一枚描いて、その絵を他の人に見てもらい、駄目出しをしてもらう事が大切なのではないかと。そして、駄目だと言われた部分をほったらかして次の絵に進むのではなく、ちゃんと駄目な部分を描き直す事が肝心なのではないかと。勉強で言うならば、テストよりも、テストが返って来た後の復習の方がずっと大切なのではないかという考え方です。

でも、問題なのはその駄目だしをしてくれる人っていうのが中々見つからない事なのですよね(^^;)専門の学校に行っていたり、サークルに所属していたりしている人は身近にアドバイスをくれる人もいると思いますが、そうで無い人には中々ね……。感想を言ってくれる人はいても駄目だしをしてくれる人がいないと思います。心理的に、相手の絵に突っ込みを入れるという行為はどうしても躊躇してしまいますから……。特に日本人は……。気配りの心を持っているとも言えますが……。

しかし、本当に絵が上手くなりたいなら、その「遠慮」が邪魔な時もあるわけで。ずばり、駄目な所を言って欲しい。でも、気遣って駄目な所を言ってくれない。

広いネットの世界なんですから、中にはそういう批評系のサイトがあってもいいと思うんですけどね……。以前は「エジマン」のように、そういう批評系のサイトもありましたが、現在は閉鎖されてしまっていますし……。何処かいい場所がないものでしょうか。昔のJPUG展示室は今思うと、信じられないくらい雰囲気のいい場所だったんですよね。相手に気を配りつつも、ちゃんと絵に対する突っ込みももらえるという数少ない場所。

「描かなければ上手くならない」というのと「描けば上手くなる」というのは似ているようで全然違う概念だと思います。数学で言う真と裏と逆……だったっけ?「描けば描くほど上手くなる」のは、自分で変な部分の修正が出来るレベルになってからの話だと思います。いや、そのレベルになっても、やっぱり他人からの批評というのは必要だと思いますが。

なので、まず最初は「自分の絵の批評を他の人にしてもらう」事が大切なのでは無いかと。時にはボロカスに言われて落ち込む事もあると思いますが、そこでめげていては絵に限らず、どんなものでも上達しないのでは無いかなぁ……なんて思います。

野球やテニスだって、最初は監督やコーチや先輩にボロカスに怒られながら上達していくものでしょう。逆に、自主トレで出来る事には限界があります。監督やコーチの存在というのは大きいと思います。そして、その先に自分ならではのオリジナリティがあるはず。イチローの「振り子打法」だとか王監督の「一本足打法」とかも、出鱈目にオリジナルを求めたものではなく、積み重ねた基礎の上になりたっていると思うのです。

あとは……そうですねぇ。……兎に角、上手な人の絵を真似する事かなぁ。「学ぶ」は「真似ぶ(まねぶ)」でもありますから。……と言っても、別に盗作をしろと言っている訳では無いですよ(^^;)

職人の世界では良く言われる事ですが、「技術は教わるものではない、盗むものだ。見て盗め、真似て盗め」……これは正しい事だと思います。

自分に無いものを表現している作品を見る。そして、どうすればその表現が再現出来るかを考える。自分の絵に無いものを取得する。……技術と言うのは、コロンブスの卵に似ている部分があると思います。その方法に気付かない人はずっと気付きませんが、一度気付いたら、次から絶対に忘れない。だから、兎に角気付く事が大切。

「真似」という言葉自体にどうにも悪い印象がありますが、他人の作品を真似る事はとても大切だと思います。最初は物真似でもいい。物真似だって千枚描けばオリジナルになる。*1



……さて、一つ目の質問の回答はこれくらいにして、2番目の質問にいきます。「絵を描くとき一番重視しているものは」という質問。え〜と、これは私の場合の話でいいんですよね?私の場合、投稿用のイラストで一番重視している事。それは……。




ずばり、「ウケ」です。





ウケ、うけ、うけけけけけけけけっ!……あ〜、こほん。

つまりですね、私の場合ハッタリでもいいから、どれだけ見ている側の人を引き付けられるか……というのを重視して描いています。自分が描きたい絵を描いている……というわけでは無いのです。少なくとも投稿用の絵に関しては(^^;)もちろん、そのウケそうなテーマの中で表現出来る範囲で自己主張も入れているわけですが。

兎に角、私は分析が大好きなのですよ(笑)この絵が人気がある要因は何かとか、この掲示板の客層はどうかとか、若い人が多いのか、年配の人が多いのか、男が多いのか、女が多いのか……とか、最近の絵の傾向はどうかとか、みんなが描いていない狙い目のテーマは何かとか……まず、客層やその場の雰囲気のデータを分析してしまうのです。そして、そのデータからウケそうなテーマを決めて、絵を描く訳です。「ここは若い男性が多いから、お色気絵で責めよう」……とか(笑)リサーチはマーケッティングの基本ですから(ぉ?)

え〜……2問目の回答はあんまり役に立ちませんね(^^;)あくまで私の場合は、ウケを重視して描いているよ……というだけの話なので、まあ、あまり深く考えなくていいと思います。何を重視するかは描く人によって全然違うと思いますし。



そんなわけで、ヘタレお絵描き人の分際で何だか語ってしまいましたが、お役に立てたでしょうか?(^^;)あんまり信憑性も無いような気もするので、出来たら、私よりももっと絵が上手な人に同じ質問に答えて貰う方がいいかもしれません。

長文になりましたが、このへんで。今日は、この文章が予想以上に長くなってしまったので雑記は省略で(^^;

*1:さくまあきら氏の言葉