「サナララ」レビュー
は〜い、そんなわけで今回はねこねこソフトの新作(……と、言ってもちょっと古いけど)の「サナララ」のレビューをしようと思います。大人な人は「続きを読む」をクリックしてねん。
- 出版社/メーカー: ねこねこソフト
- 発売日: 2005/04/29
- メディア: DVD-ROM
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……おや?Amazonの画像、何故かパッケージの方じゃなくてチラシの方ですね。個人的に今回のパッケージ画像はかなり好きなので普通にパッケージ画像を表示して欲しかったです。
最初から価格設定が安め(分類的には廉価ソフト……になるのかなぁ)なので、まあお気軽アドベンチャーを期待しつつ買ったのですが、想像よりもしっかりした内容でした。では、内容を見て行きましょう。
◆システム …… ( ´∀`)
ゲームシステムはNScripter使用。そんなわけで、基本的な機能は一通り揃っています。……が、今回、ちょっと汎用ツールのNスクで無理をしようとしている所が多々あって、メニュー画面の切り替え時等で、やや動作がモッサリしてしまう事も。
ゲームのシステム的にはオムニバス形式という形をとっています。「一生に一度だけ誰にでも願い事が適うチャンスがやってくる」という奇跡をテーマにした4本のショートシナリオの集合……という感じです。
一本の長さが大体3時間前後、トータルで12〜13時間程で終わると思います。
◆ストーリー …… ヾ(〃^∇^)ノ
直球勝負、ショートショートのお手本の様な作品でした。
前述の様に、一本の長さが3時間前後なので内容的にそんなに話をヒネル事が出来ないわけです。そこで、このソフトがとった方法はと言うと、ど真ん中への直球勝負。丁度、テレビの2時間ドラマのような感じで、ヒネル部分、見せたい部分を一箇所に集約し、後はそこへ向けて一直線にひたすら爆走します。
そんなわけで、どの話もプレイヤーとしては中盤あたりで「あ、これは最後こうなるだろうな……」と大体話のスジが読めます。読めるのですが、これが、いい意味でお約束を守ってくれます。つまり、プレイヤーが「こういうエンドになって欲しい」と思う方向へ忠実に向かってくれるわけです。
これはヘンに話をいじくり回して、結局良く分からない作者の独り善がりな話にするよりかは個人的に好感が持てました。また、話の内容的にもコメディ風味、ちょっと物悲しいシリアス、青春群像……とバラエティに溢れていて良かったと思います。特に2章と3章の雰囲気の落差がとても効果的に使われているなぁ……と感じました。同じ「チャンスシステム」でも、シチュエーションによってこれだけ大きな違いが現われるという事が上手く表現出来ていると思いました。
また、ショートショートにする事で、構成はシンプルでも内容的にとても濃い物に仕上がっていると思います。どの話も中弛みする事無く、一気に読破する事が出来ました。
……うん。ねこねこソフトの作品としては今までの中でもかなり好きな方かも。
◆グラフィック …… ヾ(〃^∇^)ノ
原画は複数人がシナリオ毎に担当……という形式。注目すべきは、ねこねこソフトのサイトで4コマ漫画担当のうめ姉さんが初原画に挑戦している所でしょうか(笑)スタッフコーナーのうめ姉さんの「名前・生い立ちについて」は爆笑しました。
複数人を使用……なのですが、全体の統制が取れているので割かし纏まって見えます。3章の三重野涼だけちょっと浮いてしまっているかな……?
そして、今作の特徴なのですが……全体的に、等身が低い(笑)良く言うと可愛い、悪く言うとロリっぽい絵柄になっております。なので、そう言うのが好きな人・嫌いな人は要注意。
立ち絵と一緒にメッセージウインドウの左上にちっちゃな顔グラフィックが表示されるのですが、これが表情豊かで可愛すぎます。
塗りもキャラデザにマッチした感じで綺麗で丁寧です。
ただ、どうせオムニバス形式にするなら「朱」の時のように男性キャラもちゃんと描いて欲しかったです。今作ではそれぞれの話で違う主人公・違うヒロインなわけですが、男性キャラは全部長めの髪で目を隠した例のエロゲ特有の汎用(?)主人公像なのですね。これだけキャラ立ちしていて、各話で主役が変わるんだったら男性キャラもちゃんと描いて欲しかったなぁというのが本音なのであります。
◆音楽 …… ( ´∀`)
ねこねこソフトの作品は音楽という点では昔から安定していますね。作品の雰囲気にあった明るい曲が多いです。ただ、今回、過去の作品に比べるとちょっとパンチ力不足かな……?と思わないでもないです。あと、ヴォーカル曲を歌っている人の歌唱力はちょっと低いかも(^^;)
廉価にも関わらず、サウンドトラックCDがついている(しかも、シングルじゃなくて、ヴォーカル2曲を含む16曲入りのアルバム)は高評価です。
◆えちぃ …… ( ´_ゝ`)
……う〜ん。まあ、普通かなぁ。多分。昨今のエロゲーの中では薄めかもしれません。基本的に1キャラ1エッチ。おまけコーナーで追加で2本。エチシーンはどのシナリオも、やや唐突に始まる事が多い気がします(^^;)特殊なプレイ等も特に無し。
あと、モザイクが大きめ。さらに、下着段階で既にモザイクがかかっています。まあ、そんなわけで、このゲームにえちぃは余り期待しない方がいいでしょう。
◆総評 …… ( ´∀`)
お手軽なアドベンチャーゲームがプレイしたい人・お約束を守ってくれる話が好きな人にお勧め。短いストーリーの中にギュッと凝縮されている中身の濃い話が楽しめます。
個人的に好きだった話はエロゲでは以外と多そうで少ない?全体的にライトなノリで最後まで進む2章と、絵描きをテーマにした4章。3章も話的には好きですが、評価が分かれそうなエンディングが、個人的にちょっと駄目でした(^^;)あれは、あれで綺麗な話なのですが、それでも、ご都合主義と言われても構わないので(以下、強烈ネタバレ→)三重野さんが助かるバージョンの話も個人的には欲しかったです。
あと、ねこねこソフトの歴代ゲームはすべて「色」に関連したタイトルなのに今回は違いますよね。その辺の伏線とかも上手いなぁと思いました。
……今年発売のパソコンゲームの中で、はじめて「買ってよかった」と思ったゲームかも。こういう、話の規模はそんなに大きくないけど、ちょっとだけ非日常な……藤子・F・不二夫先生の定義するSF的*1な話は個人的に大好きです。
*1:Science Fiction……の略ではなく、「Sukosi Fusigi(少し不思議)」の略です。