リンクに関するあれこれ

「リンクについての琵琶湖博物館の考え方」
http://www.lbm.go.jp/lnkplcy.html

素晴らしいです。公式機関でこういう正しい見解を載せているところというのは稀有の存在なのです。もっと、他の機関も見習って欲しいものです。

一方で、ディープリンクについて、このようなエントリーが。

ディープリンクについての考察」
http://blogcopyrightguide.seesaa.net/article/4125141.html

現段階では、ホームページを1つの編集著作物と考えた場合に、その配置や構成が製作者により創作的に表現されたものであるとして、特定の階層へのリンクが禁止されているにもかかわらず、それに反する行為を行なうことは、同一性保持権の侵害にあたるとの主張を否定し得ないとも解し得るのです。

これは、流石に解釈として苦しいように思います。例えば、あるホームページの一部分を抜粋して引用の範囲を超えてまるまるコピーする……というのなら兎も角、リンクはあくまで参照の範囲に留まるものであり、そこへの道しるべを示しているに過ぎないのです。これを「同一性保持権の侵害」に結びつけるのは無理があります。

例えば、ここに「Webサイトの作り方」という本があり、その37ページに「引用タグについて」というページがあったとしましょう。さて、何処か公式の場所で「『引用タグについて』は『Webサイトの作り方』という本の37ページに書いてあります」と紹介する事が「同一性保持権の侵害」にあたるでしょうか?もちろん、答えは否です。ディープリンクというのはこれと同じことです。「Webサイトの作り方」という本がサイト全体。トップページがこの本の1ページ目。そしてディープリンクがこの本の目的のページ(今回の例では「引用タグについて」のページ)のページ数を教える事。

リンクは単に言及ページへの道しるべを書いているだけなのです。リンクが単なる「参照」であるという事を前提に考えれば、「同一性保持権の侵害」というのは的を外した問題であると思わざるをえないのですが……。どうにも、「引用」や「転載」と「参照」を混同しているように思えるのです。*1

というか、そこまで強行にリンクを張る側の行為を規制しようとするのは、逆にリンクを張る側の「表現の自由」を奪う行為に抵触する恐れがあります。単なる「参照」を止めさせようとしている訳ですから。これは、これで憲法に反する行為で問題になると思いますが……。

*1:最も、「否定し得ないとも解し得るのです」という、何とも歯切れの悪い表現を用いるあたり、まだYang May氏の思考もまとまっていないのかもしれない。可能性としては、少なくとも現行の著作権法に照らし合わせるのなら限りなく0に近いと思うのですが。