「エレクトロプランクトン」レビュー

はい、そんなわけで今回はニンテンドーDSの異色ソフト「エレクトロプランクトン」のレビューを書こうと思います。


ELECTROPLANKTON エレクトロプランクトン

ELECTROPLANKTON エレクトロプランクトン


うう〜ん、ここ最近で一番レビューを書くのに悩んだ作品ですね。どういう切り口で書けばいいのか……と、悩む。小難しい理屈を並べて面白さを証明するのがいいのか?従来のゲームとの差異を語ればいいのか?

◆ 本質は、きっと、ずっと単純で原始的なもの

……けど、まあ、それは止めました。他のサイトで色々そういう詳しい分析はやってくれているし(笑)このゲームに関しては、ゲームにしろレビューにしろ必要以上に深く考えすぎる傾向があるかな……と。

例えば「メディアアート」という言葉。何だか、言葉だけが一人歩きしてますよね。「これはゲームじゃなくてアートなんだ」と。そこで、今までのゲームと違う理屈を色々と並べる。う〜ん……そんなんじゃ無いと思うわけです。

作者はどんな思いで「アート」という言葉を使ったのでしょうか?公式サイトの作者のメッセージを読んでみましょう。

僕個人の思いが詰まったものとして、あえていうなら、アートなのですが、でも単に作品を鑑賞してもらう従来のアートでもない。世の中で似たようなものをさがすのが難しいのですが、例えれば美しい楽器のようなものかな…。

そんなわけで、作者の人も「アート」という言葉を、他にジャンル別け出来るような適当な言葉が見つからないので、便宜的にあえて例えているだけであって、必要以上に芸術性だとかに訴える事もないかと思うのです。

個人的に言えば、「おもちゃ」で十分じゃないかな……と思います。触って感じて楽しむソフトですから。そんなわけで、以下の文章では内容とかを個人的な思いを中心に語ってみます。

◆ ソフトの概要

  1. 画面の中に10種類のプランクトンが住んでいます。
  2. タッチペンやマイクを使って、そのプランクトンや回りの障害物を動かせます。
  3. プランクトンに触ると、音が出たり、光ったり、動いたりします。
  4. それだけのソフトです

説明が簡単に出来るから楽です(笑)遊ぶ側はそれを眺めて、時にはちょっかいを出して楽しみます。

◆ 何が楽しいのか

私の場合、プランクトンの幻想的な美しさを眺めたりだとか、美しく奏でる音を聞いたりするのが楽しいのです。……う〜ん、この辺は感覚的なものなので中々上手く説明出来ないわけですが……。

ちょっと話がそれますが、私の知り合いに家で金魚を飼っている友達がいます。私にはそれの何が楽しいのかが分からないけど、友達にとっては水槽の中で泳いでいる金魚を眺めているだけで楽しいそうです。

これは結構似た感覚だなぁ……と。水槽の代わりがDSで金魚の代わりがエレクトロプランクトン。眺めたりちょっかいを出して楽しんで。でも、興味が無い人にはそれの何が楽しいのかが分からない(笑)

で、このソフトが楽しめるかどうかというのは、個人的にはそれだけの事で、感性が合うか合わないかだけの問題だと思うのですが、これをゲーム性云々に絡めて書いてあるレビューがあるから違和感を感じます(^^;)もっとも違和感を感じた意見は、コレ。

今の子供達は目的が与えられないと楽しめないんだろうな。だから、こういう「何をしてもいい」ゲームの面白さが分からない。

……いや、そんな大層な話じゃないと思います(汗)

例えば、一般的にアートに属する絵や音楽にしたって個人の好き嫌いがあるじゃないですか。「絵を描くのは好きだけど、歌うのは嫌い」だとか「音楽を聴くのは楽しいけど、物を作るのは嫌い」だとか。でも、「絵画」にしたって「音楽」にしたって「工作」にしたって明確な目的があるわけじゃない。自由に創造していい。そこに生まれる好き嫌いというのは単に感性に合うか合わないかというだけの話でしょう。

◆ 保存機能の是非

これが、このソフトの中で意見が真っ二つに分かれる所でしょう。このゲーム、保存機能がない。つまり、たまたま偶然に凄く美しいメロディーを奏でるプランクトンが出来ても、それを次回に再現する事は出来ないのです。その場限りでのみ見られる美しさ。(ただし、ハネンボウというプランクトンを除く。このプランクトンのみ、障害物の角度をメモる事で再現可能)

この辺り、保存機能が無いからこのゲームはいいのだという意見も多く見られます。保存機能を付けない事により色々な呪縛から逃れられると。確かにその通りなのでしょう。

でも、それでも、私は保存機能を付けて欲しかったです

これは別に、ゲームに目的を与えるだとかそういう複雑な話じゃなくて、もっと本能的なもので、綺麗なものを感じる幸せを他の人にも見せてあげたいというだけの事なのです。

感覚としては、幼稚園児が幼稚園で上手に絵を描けたら、それを家に持って帰って親に見せてあげたいと思うじゃないですか。親は、それを思い出として保管してあげようとするじゃないですか。そのレベルの話なのです。

夜、寝る前に偶然綺麗なメロディーと美しい光を放つプランクトンに出会えたら、それを残しておきたい。他の人に、「ほら、綺麗でしょ?」と見せてあげたい。それだけの話で、そこにゲーム性だとか目的だとかそういう複雑な要素や他意は何もないのです。

でも、それをゲーム性とかの複雑な話に絡めて「しかし、保存機能を付ける事による弊害がウンタラカンタラ……」と言われると、私としては「はぁ……」と頷くしかないわけで。ここらへんでも、このソフトに対して複雑に考えているかどうかという温度差を感じるわけです。

◆ で、結局買いなのか?

「ソフトの概要」で書いた通り、このゲームの本質はしごく単純です。公式ページに動画付きで作品の解説があるわけですが、この紹介を見てどう思ったでしょうか?内容が一瞬で把握出来る分、従来のゲームに比べて、実は判断しやすいソフトだと思います。その気持ちに素直になればいいのではないかな……。

判断しやすいので、購入検討されている方は少しでいいから買う前に情報を調べてから買うようにしましょう(笑)それだけで、少なくとも「騙された!」と思う被害は大分減る事と思います。

私にとっては買って良かったと思うに値するソフトでした。このソフトは唯一無二の宝石みたいなものですね。小さいけれど、光り輝く……みたいな感じ。だから、素晴らしいソフトだとは思うけれど、似たようなソフトは2本もいらないなぁ……とも思います(笑)

……う〜ん、何だか纏まりのない文章になってしまった。次のレビューは「エグモンHERO(NDS)」か「千年家族GBA)」か「真・三国無双GBA)」か「恋姫(PC)」になる予定。