「神樹の館」レビュー
シナリオを個人的大絶賛アドベンチャーゲーム「cross†channel」の田中ロミオ氏が書いているので期待して買ったゲーム。そんなわけで、大人な人は「続きを読む」をクリック
- 出版社/メーカー: メテオ
- 発売日: 2004/09/24
- メディア: CD-ROM
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◆ 後発で「館もの」「人形もの」を出す難しさ
……兎に角、最初に感じたのはこれですね。物語が面白くない訳では無い。話に引き込まれるし、練りこまれた世界観に惚れ惚れします。けど、似たような雰囲気を別のゲームや小説等で感じた事があると思ってしまう。
はっきり言って、物語の質的にはかなり高いと思うのです。数ある「館もの」の中でも上の方のレベル。だけど、悲しいかな、後発のつらさと言うもので、ネタは練りこまれていても似た雰囲気を別のゲームで味わっている。端的に言うなら新鮮味が足りないのです。
これは、今後「館もの」「人形もの」を出そうと思っているメーカーさんにとっても課題になると思うわけで……。う〜ん。
◆ ストーリー …… ( ´∀`)
まず、このゲームの特徴として、文章が非常に美しいというのがあります。とても綺麗な日本語。読んでいて、「ああ……これ、本当に18禁ソフトをプレイしているのか?」と疑ってしまいそうです。普通の文章とは明らかに違いが分かる美しさなので、この辺は一度プレイして感じて欲しい部分ですね。
お話的には、一般的に「館モノ」と言われる分類です。主人公達が一軒の洋館に泊まるものの、訳有って足止めをくらってしまう。そして、館の怪異に巻き込まれる……というタイプのものです。
初めてプレイする人なら楽しめると思うのですが、この手のゲームを何本かプレイしている人間にとっては、新鮮味が味わえない所がつらい。話の筋的にはかなり練りこまれているわけですが……。
このお話においてもう一つ大切なキーワードが「人形」なのですが、これも古今東西に同じテーマを題材にした話が多くあり、オリジナリティを出そうと努力していると感じるのですが、やはり、新鮮味が足りない。
それでも、読んでいる内に話に引き込まれるわけですが……。エンディングの美しさは一見の価値有りです。
◆ キャラクター …… ( ´_ゝ`)
今作でもう一つ絶賛出来ない理由に、キャラクターの魅力が個人的にはイマイチ薄かった事があげられます。どうにも感情移入出来ない。
これは、主要ヒロインが全員ヒトカタであるという部分が大きい(←強烈にネタバレ)。お話的には美しいのですが、単に美しいだけで終わってしまう。感情が入り込めない。やはり同じモノでも、「物」であるか「者」であるかで、話ののめり込み方が変わってしまいます。
人間が感情移入するには、あまり人間からかけ離れてはいけないと思うのです。
◆ システム …… ヾ(〃^∇^)ノ
必要な機能はすべて揃っていますね。個人的に右クリックがメニュー呼び出しではなく、枠消しなのも評価高し(笑)必要な事は画面上部のメニューからすべて出来ます。
◆ グラフィック …… ( ´∀`)
丁寧な仕上がりです。特に背景の美しさは素晴らしい。木目模様とかつい繁々眺めてしまいました。
キャラクター原画はyuyiさん。ちょっと酷な言い方になってしまいますが、あまり個性的な絵では無いなぁ……と思いました。分類としては、萌え絵というか、ちょっとオッパイ大き目のロリっぽい絵と言うか……だけど、この人ならではという売りに乏しい絵に感じました。逆に言えば、強烈な個性が無い分多くの人に受け入れられやすい絵だとも思います。
◆ 音楽 …… ( ´_ゝ`)
曲数少ないよ(汗)
曲自体は和風の曲とピアノの曲が中心で美しい曲が揃っています。特に琴のアルペジオなんかは聞いていて、とても心地がいいのですが……いかんせん、バリエーションに乏しすぎ。美しい曲でも、似たような曲を何度も聴かされると飽きます。もう少し、色々な曲を入れて欲しかったですね。
◆ エチィ …… ( ´∀`)
シーン数自体はそんなに多くないです。けど、一回一回が結構濃い……かな?ストーリーの都合上、純愛の末のエチシーンが多く気分も盛り上がる事……と思います(笑)あと、メディ倫ソフトなので、ぼかし薄い。アヌスは丸見え。
推奨属性:「純愛」「処女」「ロリ」「巨乳」
◆ 総評 …… ( ´∀`)
館モノの入門として最適かと。
作品全体として受け取る印象は「美しい」の一言ですね。言葉もお話も、すべてが美しい。ただ、あまりにも綺麗すぎて、逆に感情移入がし難い。一歩離れた所から見ている気分。
買って損はしないと思いますが、どうにも「あと一歩」という気分が拭えない。何だか、惜しい作品。
あと、個人的に一言言うなら、館モノのお約束である「館炎上」のエンディングが無いのはどういう事かと(笑)