今年の漫画十選

ゲームで十選したんだったら、マンガもしないとなぁ……と思ったのですが、これがゲームと違って難しい。

まず、マンガは8割方が連載物という事。ゲームみたいにそれ一本で完結しているものじゃない。そうなると、連載開始したのが数年前で現在も続いているマンガをピックアップしていいのかとか、10巻までは面白かったけどそれ以降つまらなくなったマンガの評価はどうしようかとか、色々問題があって単独の作品として評価しにくい。

一応今回は、

  • 連載物は、その中の巻の1冊以上が今年私に新規で読まれた物のみ。
  • 連載物の評価は、単独の巻ではなく、作品全体の評価として。

という条件で選んでみました。あと、読んだ数が少ないので順位付けはせず。ただし、最優秀作品だけは選ばさせて頂きました。

そんなわけで、面白かったマンガ紹介〜。

DEATH NOTE

DEATH NOTE (9) (ジャンプ・コミックス)

DEATH NOTE (9) (ジャンプ・コミックス)


最近迷走しているという評もあるデスノですが、やっぱり外せませんでした。圧倒的な情報量と先の読めない心理戦。巧みな伏線を駆使した本作は「推理する楽しさ」を兼ね備えている傑作だと思います。

のだめカンタービレ

のだめカンタービレ(13) (KC KISS)

のだめカンタービレ(13) (KC KISS)


音楽をテーマにした本作は、非常に後味が良いコメディ。色々な問題を抱えながらも最後の演奏では大成功を収める。絵から音を感じる作品です。

PLUTO

PLUTO (2) (ビッグコミックス)

PLUTO (2) (ビッグコミックス)

マンガを原作にしたマンガが増えてきている中、やはり浦沢氏が凄いなぁと感じるのは原作の匂いを残したまま、完全に作品を自分の色に染めてしまったという事です。

私のもう一つ好きなマンガを原作としたマンガには山本賢治氏が描いているブラックジャックがあるのですが、こっちはまだ原作の鎖に繋がれている様に感じる。もちろん、それが悪い事というわけでも無いのですが、浦澤アトムを見たときにアレンジ作品の面白さの妙を見出す事が出来た、そう思ってしまうわけです。

ダーリンは外国人

ダーリンは外国人(2)

ダーリンは外国人(2)

これは面白いっ!今年は、同作者が同じ主人公(作者とだんな様なのですが…)を使った他の作品も出ているのですが、こっちはイマイチ。この二人の面白さを知ろうと思ったら、この本をお勧めします。朗らかな気分になりながら、勉強にもなります。

よつばと!

よつばと! (4) (電撃コミックス (C102-4))

よつばと! (4) (電撃コミックス (C102-4))

こんなにホノボノとした世界を作り上げた作者に拍手。何処にでもありそうな、でも、ちょっと現実とは違うような、何だかノスタルジーを感じてしまう世界。そこを主人公のよつばが天真爛漫に駆け巡る。読んで癒される作品です。

マンガ嫌韓流

マンガ嫌韓流

マンガ嫌韓流

リストに入れるかどうしようか悩んだのですが、やはりこの作品が30万部を超えるセールスを記録したのは意味があるだろうと思い、ランクイン。

政治マンガ(と言っていいのかどうかは分からないけど)の先駆けとしては小林よしのり氏の「ゴーマニズム宣言」があるわけで、流石に新鮮さは感じられないし正直絵の表現力もイマイチだと思う。

だが、この作品の意義は政治思想を伝える方法にマンガを選び、それをエンターテイメントとしている事にあるだろう。マス・メディアの一つとしてマンガを使う方法は今後増えてくるかもしれない。

クロスゲーム

クロスゲーム 2 (少年サンデーコミックス)

クロスゲーム 2 (少年サンデーコミックス)

例によっていつものあだち作品なわけですが、1巻の見せ方の上手さは流石だなぁと感動してしまったのです。「タッチ」以来、久々に主人公クラスの人物を……としたのと、野球を舞台にしているのは、「タッチ」を別の切り口から展開させようとしているような感慨を受けたりもしました。

さよなら絶望先生

さよなら絶望先生(2) (講談社コミックス)

さよなら絶望先生(2) (講談社コミックス)

ええと……マガジンに移籍しても久米田節は相変わらずという事でしょうか(謎)何故か、この味を味わってしまうと、逃れられない不思議な魅力が……。

リアル

リアル 5 (ヤングジャンプコミックス)

リアル 5 (ヤングジャンプコミックス)

人物を描く上手さというか、漫画家って幾通りもの人生を頭の中で平行して産み出すんだから凄いよなぁと思う。そんな中でもヒューマンドラマとして極めて密度の高い漫画。同じ作者のスラムダンクよりもこっちの方が好きです。



…………と、これで9作品か。後1つ。それでは最初に描いたとおり、今年度もっとも面白かったと思う最優秀作品を紹介しようと思います。最優秀作品は……これだーっ!

失踪日記

失踪日記

失踪日記


吾妻ひでお氏の「失踪日記」ですっ!(ぱふ、ぱふ〜!どん、どん〜!)

いや〜、この漫画は凄いっ!傑作と言っていいでしょう。吾妻ひでおさんが失踪していた期間の出来事を漫画化しているのですが、これ普通の漫画家では描けません。何でかって、普通の漫画家はこんな経験、一生しないもん(笑)普通とは違う経験をした作者だからこそ描けた漫画。

そして、仮にこのような経験をした人がいたとしても、その出来事を読み物としての作品に仕上げる、それも悲惨な出来事をそう感じさせない雰囲気に作り上げる事も普通の漫画家では難しい。

以上2点の理由から、この作品は吾妻ひでお氏以外の何者でも描くことが出来なかった作品という点で傑作と言っていいと思います。

漫画の密度も濃い。大ゴマを使う漫画家が多い現在、未だに1ページ4段組の密度で、しかも読みやすい漫画を描く人は稀有の存在になりつつあるでしょう。背景も上手い。模写が上手いという事ではなく、背景を自分の目を通した吾妻テイストとして消化して表現出来ることが凄いと思う。

吾妻ひでおを知っている人も知らない人も是非読んで欲しい作品です。





…………という感じで10作紹介してみましたが、如何だったでしょうか?低迷が続く漫画界と言われていますが、キラリと光る作品が多かったというのが今年の印象です。

あと、ヤングユーが休刊になっていたのは驚きました。う〜ん、不景気とは言え、辛いなぁ。