「ひぐらしのなく頃に(目明し編まで)」レビュー



…………………………怖い。







……………………………………………………痛い。










怖い…………怖い…………怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、痛い、怖い、怖い、怖い、痛い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、痛い、怖い、痛い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、痛い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、痛い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、痛い、怖い、痛い、痛い、怖い、怖い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、怖い、痛い、遺体、異体、痛い、怖い、恐い、恐い、痛い、恐い、痛い、恐い、恐い………………………




ぎゃーーーーっ!!!!!!




…………。




………………………………。






……そんなわけで、戦慄のホラーサスペンス・ビジュアルノベルひぐらしのなく頃に」のレビューいきます。


ひぐらしのなく頃に


さて、ところでこの日記をを読んでいる皆様は、恐らくこの作品の事を知らないと思います。本屋さんで、アンソロジーコミックと攻略本が出ているのでタイトルくらいは見たことがある人もいるかな?


ひぐらしのなく頃に特別編雛見沢村連続怪死事件私的捜査ファイル

ひぐらしのなく頃に特別編雛見沢村連続怪死事件私的捜査ファイル

(↑現在売られているコミック等)




実はですね、このゲーム、いわゆる一つの同人ソフトというやつでして、ちゃんとした商業ソフトじゃないんですね。ところが、ノベルの完成度の高さが口コミで広がり、体験版が公開されてから爆発的に普及したソフトなのです。また、後述しますが、ある意味このゲームは同人ソフトだから成立している要素もあります。

私の知っている限り、同人ソフトでアンソロジーコミックが発売されたのは、このソフトと「月姫」くらいしか知りません。サイトアドレスはこちら。

http://07th-expansion.net/


で、ゲーム内容ですが一応、ビジュアルノベルです。一応と書くのは、このゲーム、選択肢が存在しないからなのです。どちらかと言うと「ビジュアルノベル」と言うより「ビジュアルとノベル」という感じですね。読み物に近い。

雛見沢村」という村を舞台に繰り広げられる連続殺人事件。プレイヤーは、ゲームの主人公を通して見た世界を元にこの事件の真相を暴いて行くことになります。

さて、冒頭、「このゲームには選択肢が無い」と言いましたが、その代わり、同じ舞台を背景にして主人公が違う行動をとるシナリオが複数存在します。プレイヤーはその複数のシナリオを見ながら事件の真相を暴くことになります。つまり、序盤に一回だけ選択のあるビジュアルノベルと言い換える事も出来るでしょう。一つのシナリオだけでは分からなかった真実が、複数のシナリオを神の目線から見ることで少しずつ明らかになっていく……という事です。

このゲームの特徴の一つは、「問題提起編」と「解決編」が別のソフトで販売されているという事でしょう。

「問題提起編」である「ひぐらしのなく頃に」では主人公は色々と頑張るのですが、絶対にバッドエンドに向かってしまう。問題を提起して、伏線も色々見せてくれるのですが、真相を明らかにする事無く事件は未解決のまま終わってしまいます

そして、事件の真相は「解決編」である「ひぐらしのなく頃に解」で明らかにされる事になります……これは同人ソフトだから許される事で、商業作品だったらかなりバッシングされていると思う。ひとつのパッケージにおいて解決されていない。しかし、「ひぐらし」に関してはこの辺の不満は殆ど聞かれません。それは、物語の展開の上手さとボリュームによる所が大きいと思う。

「問題提起編」と「解決編」を分けることにより、良い効果が生まれます。つまり、問題を出されてから解答を知るまでに時間があるので、プレイヤーはより事件の推理等をして楽しむ時間的余裕を与えられるという事です。

勿論、普通の推理小説サウンドノベルだって同じように楽しめますが、「ひぐらしのなく頃に」は物理的に、強制的にプレイヤーに時間を与えている点が大きい。丁度、テレビのクイズ番組の宿題クイズみたいなものです。見ている側に解答までの間に強制的に時間を与える事によって、考えさせる事に成功しています。

この「問題」と「解答」を分けるという方法はゲームでは珍しい(というか、それぞれが別売りだと、商業作品だったらクレームの元になる)。過去、ディスクシステムで発売された「ファミコン探偵倶楽部」等は前後編が別々でしたが、これはそういう効果を狙ったわけではなく、単に容量不足から二つに別れたという話ですから*1

そして、その「問題」と「解決」を分けるという手法も、値段の安い「同人ソフト」という特徴を上手く使っています。前後編、それぞれを買っても普通の商業ソフトよりもずっと安い*2

さらに、シナリオを分割しているとはいえ、一つ一つのシナリオが十分に満足出来る長さを持っています。「ひぐらしのなく頃に」だけでも早い人でも30時間、じっくり読めばその倍はかかるくらいのボリュームがあります。また、一度クリアしても事件を推理する為に再び前のシナリオを読み返したりも多くの方がしています。つまり、プレイした人は値段に対して十分に満足出来る内容が詰め込まれている事を知ります。なので、シナリオが途切れていても、あまり不満を感じないのです。

さて、ゲーム内容に行きます。シナリオは前半、やや男性向けギャルゲーちっくな文体で進みます(笑)ほのぼのとした「雛見沢村」の暮らしが描写されます。

ところが「綿流し」と呼ばれるお祭りの日以降、ガラリと雰囲気を変えます。この変化は本当に恐ろしい。天国から地獄に落とされたような変わりようです。その恐怖描写も商業作品だったらNGなんじゃないか?と思われるほど残酷な描写が散りばめられています。人によっては多分、読み進められないと思う(^^;)痛い話を聞いて、自分の体まで痛く感じる……という傾向が強い方は止めた方が無難かも。

選択肢が存在しないため、主人公の行動にいらいらする事もあります。私も「鬼隠し編」はまだしも、「綿流し編」と「祟殺し編」は主人公の直情馬鹿傾向が進みイライラ(笑)あんまりにもな行動を取るので「……ここ、(プレイヤーの)ミスリードを狙っているっぽいなぁ」と感じる場所がちらほら。この手のゲームはサブキャラは兎も角として、主人公があまりにもアホな行動を取ると興ざめしてしまうので、なるべく主人公には不自然な行動や感情を抱かせない方がベターだったと思う。「ひぐらし解」の詩音が沙都子に抱く感情も不自然。そして、意図して作られた不自然さは物語の根幹に迫っている証。実際に「目明し編」はこの沙都子に対する感情が物語の起伏に大切な役割を与えていました。

あと、気になったのが後書きでもある「人間犯人説」と「祟り犯人説」。これ、両者はそもそも比較対象ですら有り得ない。「魔法の世界で推理小説は成り立たない。だって、密室からだって魔法一つで脱出出来ちゃうんだからさ!」……なんてアメリカンジョークがありましたが、推理というのは理詰め出来るから推理なのであって、理屈の上を飛び越える魔法やら祟りやら超常現象が出てくるなら推理は成り立たない。

もちろん、それはそれで別のジャンルとしては成り立つのですが、少なくとも祟りが存在する世界と存在しない世界を比較するというのは非常に不自然なものを感じました*3。「ひぐらし」も最終的には推理が成り立つ世界であって欲しいとは思いますが、これが「祟り」とかいう超常現象がオチだったら、少々興ざめ……(^^;)だって、超常現象が成り立つなら、他の事だって何でも有りな世界なわけで、今まで推理したのが無駄になりますから。

質の高いホラー作品ですが、人によっては毒がきつ過ぎるので、処方には十分にご注意を……。あと、個人的に「目明し編」の後書きは突っ込みどころ満載。


おまけ:ゲーム中、キャラクター達が「クルー」というボードゲームで遊ぶシーンがあるのですが、これ、私が知っている「クルー」とは微妙にルールが違うんだな(笑)この「クルー」中々面白いゲームなので身近にプレーする人がいる人は買ってみて損はしないと思いますよ〜。

*1:後に発売されたファミコン・ミニシリーズの「ファミ探」は前後編が一つのカートリッジの中に入っています

*2:またまた、「ファミ探」の話と絡めますが、「ファミ探」も500円で新作ゲームに書き換える事が出来るというディスクシステムの特徴があったからこそ、前後編で発売することが出来たと言えます

*3:これも、プレイヤーに「こんな事は人間の能力では出来っこない!」と思わせる為のミスリードかな……それにしても露骨だと思いますが